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挑戦と継承を続ける越前打刃物【龍泉刃物】

今回は、「4年待ちのステーキナイフ」で有名な越前打刃物の会社「龍泉刃物」の魅力を、龍泉刃物のプロデューサー兼刃付け師である増谷浩司さんに取材しました!




いち早く新しい素材を取り入れる

龍泉刃物は、創業70年以上の歴史を持つ会社。初代・増谷等さんが刃付け業を始めたことがきっかけで始まりました。

越前打刃物産地内で、いち早くステンレス鋼を取り入れて製品化を進めた会社です。



デザイン性の高い店内。ショップと工房が併設されています。


そもそも越前打刃物とは

越前打刃物は、1337年に京都の刀匠が府中(現在の越前市)に来た際に、農民のために鎌を作ったことから始まったといわれています。その刀匠から伝えられた技術と精神を受け継ぎ、現在の越前打刃物の技術が作られています。



その歴史と技術が高く評価され、なんと1979年に刃物産地として全国で最初に伝統的工芸品に指定されました!


龍泉刃物特有の模様

龍泉刃物の特徴の1つは、何と言ってもこの美しい模様。


一見、装飾のようにも見えますが、実はこれは製作の過程で自然と生まれる模様なんです!

2種類の鋼を交互に重ねて70層にした材料を槌(つち。ハンマー)で打って鍛え、それを平らに磨き上げることで、年輪のような模様が浮かび上がるのです。

なので、同じ模様のものは1本たりともありません。


信頼できる性能

龍泉刃物の切れ味を実際にショップ内で試せるということで、RENEWスタッフも体験させていただくことに!

まずは人参を切ってみます。

一体普段使っている包丁とどのくらいの違いがあるのでしょうか...。


いざ入刀。



え...!刃がスッと入っていく...!

刃が触れた瞬間に違いがわかります。


こ、こんなに簡単に切れた...!

固い人参が、なんの抵抗もなくスムーズに薄切りに出来ました。

「人参を切っているとは思えない」「まるでチーズを切っているようにスーッと切れる」など、スタッフの間で驚きの声が飛び交っていました。

さらに衝撃だったのが、食感の違いです。

まず、切られた断面がツルッツルで舌触りが滑らか。食べてみると普段食べている人参とは思えないほどの瑞々しさが!

生の人参がこんなに美味しいと感じたのは初めてです!


野菜の繊維をつぶさず、水分を保ったまま切れるので、旨味が凝縮していて美味しくなるのだとか。

刃物の切れ味は、食材の美味しさを引き出す役割も果たしている事を身をもって体感しました。


この切れ味の秘密


叩くことで鍛えられた刃は不純物が少なく、組織が緻密になります。

そうすることで、固いものを切る時も欠けたりしない、粘り強い持続性のある刃が生まれます!


希望に寄り添う

そんな龍泉刃物さんでは、刃物の持ち手にまで気を遣っています。

そのため、お客様が好きな木目を選べるように、木をブロックの状態で仕入れているそうです。


持ち手に使う素材は木だけではありません。なんと麻素材と樹脂を交互に重ねて作られたものもあり、使い込んで持ち手の樹脂が薄くなっていくにつれて、麻素材が滑り止めの効果を発揮してくれるのだそうです。

美しさだけでなく、機能性も抜群。

「デザイン性だけでなく、そこに機能性や特徴を持たせたい」という増谷さんの想いが込められています。



他にも、旅行会社とタイアップしてお客様の滞在時間に応じた体験プランを行うなど、お客様の目線に合わせた対応がとても印象に残ります。


取材中、増谷さんは


「出来るだけお客様の希望に応えたい」

という言葉を何度も仰っていました。

お客様の1つ1つの希望を丁寧に扱う増谷さんの気持ちが強く伝わってきて、龍泉刃物さんが長く愛されている理由が分かった気がします。

高い技術と機能性だけを追求するのではなく、使う人のことを考えた柔軟な対応に、温かい人間性を感じました。


時代に合わせたものづくり

越前地域は、昭和初期まで草刈り鎌の一大生産地だったそうですが、機械化とともに需要は低下。そこで龍泉刃物さんは「鎌に変わる物を」と西洋包丁を作り始めました。

型にはまらず、世間でアウトドアが流行していることを知れば、それに合わせてアウトドアナイフを作るなど、昔ながらの技術を受け継ぐだけではなく、時代の流れを捉えることを大切にされてきました。



「常にアンテナを張って新しいものに挑戦する


さらりと仰った増谷さんのその一言に、龍泉刃物さんのとても大きな強みを感じました。

伝統を継承しながら今の時代を見つめる。

そうして1歩1歩時代を歩んできたからこそ今の龍泉刃物さんが存在しているのではないでしょうか。

RENEWでは、実際の工房を見学できるだけでなく、ワークショップでステーキナイフ作り、アイスクリームスプーン作りも行われます。
(写真は以前のワークショップ風景です)




みなさん、自分が普段使っている刃物をじっくり見る機会はありますか?

この機会にRENEWで刃物の魅力を一緒に探りましょう!



出店者情報

龍泉刃物(りゅうせんはもの)

〒915-0873 福井県越前市池ノ上町49-1-5

TEL:0778-23-3552

紹介ページ:http://renew-fukui.com/2019/kanri/exhibitor/echizenuchihamono-ryusen-hamono/

RENEW期間の営業時間

ショップ:10月12日(土)~14日(月祝) 9:00~17:00

見学:12日(土),13日(日) 9:00~12:00,13:00~17:00 随時受入



文:清野 愛理