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「ムダ」を愛そう、「いいな」をかなえよう。【エーリンクサービス】

福井の編み物・・・そこには2000年の歴史が。

福井における織物生産の起源は、西暦2~3年に大陸から移住した人々が絹織物を始めたことによるといわれています。

北陸の温暖多湿な気候は静電気が起きにくく、織物生産を後押ししました。

その品質を天皇や戦国大名が手厚く保護したことから、福井県は絹織物産地としての地位を確立しました。

その後も設備の近代化による品種の多様化・人工織物などの技術を見出し、福井の名は世界にも広く知られるようになりました。


現在はエコロジー分野・ファッション分野などにも技術を投入し、福井の繊維産業はつねに一歩先を行く存在としてあり続けています。


※参考:『福井の繊維 歴史』 一般社団法人福井県繊維協会 公式ホームページ

http://www.fukui-seni.or.jp/20rekishi/index.html



オリジナルのトートバッグ、お持ちですか?

さて、今回は鯖江市にて雑貨用バッグのデザイン・製造・プリントを行っている、エーリンクサービスをおたずねしました。

最近では多くの企業が、ロゴの入ったTシャツやポロシャツを取り入れていますよね。

また、自作のイラストやカラーが入ったオリジナルアパレルグッズをお持ちの方も多いのでは?

エーリンクサービスは、こうしたオリジナルグッズのうち、「トートバッグ類」に特化したネット販売・サービスを展開しています。


ベースとなるバッグの一例。

プリントしないままの購入も、もちろんOK!


オンラインショップでは、60通り以上もの豊富な素材やスタイルから、バッグのデザインを選ぶことができます。

あなたが欲しいかばんは、お弁当用?おでかけ用?それともレジャーバッグ?

素材もスタイルも豊富に取り揃え、あなたの「欲しい!」に応えます。

もちろん、シンプルな無地のままでもOK。


プリントする前からワクワクしますよね!!




あなたのデザイン、秒でかなえます。

会社をご紹介いただいたのは、代表取締役の山本さんと生産部の前田さんです。 


右側が社長の山本さん。左側が生産部の前田さん


お客様からの発注は、おもにイベントや展覧会のトートバッグが主流。

一日あたり数十件にものぼるそうです。


デザインを妥協したくないのは、作り手もお客様も同じ。

かといって、ヒアリングに時間をかけすぎると納品が間に合いません。


そこで目をつけたのが、コンピューターグラフィック(CG)によるデザイン作成です。


CGで作成したサンプル。影や「ヨレ感」まで忠実に再現。


ズームアップし、生地や縫い目をじっくり確認できる。


CGを使うことで、サンプル製造の時間・コストを大幅カット。

生地や縫い目までリアルに再現されています。

「これ、写真じゃないですよね?」と思わず聞いてしまいました…

色の変更も、ワンクリックでかんたん。49通りのカラーリングから選べます!



今回は山本社長自ら、パソコンを操作していただきました。

「あらかじめ用意した画像を、専用のソフトに入力すれば…」


プリントしたい画像を選ぶだけでOK


なんと、サンプルがすぐに作られました!

専用ソフトの操作はかんたんですが、制作に約6か月もの期間が費やされています。

画像の位置・上下のズレも微調整して、こだわりをとことん追及。

あなたなりのデザイン、一瞬でかなえます!!


かわいさだけじゃない!フルカスタムもやります。

「MOGANA(もがな)」は、エーリンクサービスが立ち上げたブランド。

「あったらいいなぁ」という意味の古語から名づけられました。

(現在も「言わずもがな」などの言葉に残っていますね。)

トートバッグのノウハウを活かして作られた、MOGANAのプロダクトを一部ご紹介します。


まずは、高密度ポリエチレンを使ったサコッシュ。



その見た目と手触り、そして薄さは紙のようですが、強度はバツグン!防水性もバッチリです。

引っ張ったりつまんだりしても、跡がわかりません。

ハイキングや雨の日のちょっとしたお出かけなど、どんなコンディションでも活躍することまちがいなし!



薄いけどタフな生地。

引っ張ったり、つまんでも跡がわからない

現在開発中なのが、ハイスペックツールを用いたアウトドアギア。


様々な産地・メーカーから届いた部品をひとつにしていく。


アタッチメント部は、非常に高い耐久性を誇る。



「コブラバックル」というアイテム。

脱着はシートベルトのようだが、強度はバツグン


付けはずしは簡単ですが、一度噛みあった金具はガッチリ離れません!

実は、これら金具のルーツは「軍隊」。

機能性・タフさに優れたハードギアは近年人気で、セレクトショップで見かけることも増えてきました。

「オトコゴコロをくすぐりますよね」「リュックのヒモなんかにいかがでしょう?」と山本社長。

「カメラの(首にかける)ストラップに使いたいという方もいらっしゃいます」と前田さん。

将来的には、こうしたギアアイテムもネットでカスタマイズできるよう計画中です!


「農業×サーフィン」がテーマのフルオーダー品。

ダメージ加工で世界観を出した。



お客様のご要望があれば、フルカスタムで制作します。

注文数が多いトートバッグは、ベトナム工場で制作しコストカット。

質が求められるオーダー品は、日本の工場で技術を結集。

「ないものを作ろう」をキホンに、機能性・ファッション性・オリジナル性を追求するスタイルを貫いています。


「ないものをつくる」をつくる空間

エーリンクサービスの強みは、ひとつの工場で裁断・縫製・色塗り・乾燥のすべてができること。

スタッフは一通りの過程を少しずつ習得していきます。


この一室で、ほぼすべての制作工程ができる。



生地を縫う

裁縫前の生地。ロゴマークが入っている


ひとつひとつ、スタッフの手で縫いあげる


デザインが複雑なときは、コンピューター搭載の特別ミシンを使用。


一度に15色もの糸で刺しゅうできる!


複雑なデザインの刺しゅうは、データの作成・入力が必要。

この作品の作成時間は約10時間!


製造部の森さん(左)。RENEW当日も参加していただきます!


昨年のRENEWにて、越前市・長田製紙所さんとコラボした作品!

越前和紙が縫いつけてあります

※長田製紙所ページ:http://renew-fukui.com/2019/kanri/exhibitor/echizenwashi-osada/



模様をつける(プリンター)

オリジナルバッグのプリント方法はおもに4種類。

お客様のニーズをもとに、もっとも適切な手法で制作します。

一つ目は、先ほどご紹介した「刺しゅう」。

二つ目はプリンター。こちらもひとつひとつが手作業です。

このエリアは、インクの湿度を保つために透明のカーテンで仕切られています。熱を持った生地は、食べものを作っているような香ばしい匂いを漂わせていました。




模様をつける(ステッカー)

カバン生地に使えるプリンターはすごく便利ですが、はっ水素材などのシャカシャカした素材にはインクが使えません。

そこで登場するのがステッカー。写真や画像をそのまま貼り付けられます。




模様をつける(ペイント)

四つ目の手法は、手塗り。

分厚いキャンバス生地や、ラーメン屋さんなどのTシャツ生地によく用いられます。

「上手くなるまではちょっと難しいですよ~」と山本社長。

とはいえ、次々にペイントされていく光景に思わず見とれてしまいました。


ちょっとしたコツに、体力も必要!



白い部分のみインクが通過する。表面は細かい網目状


インクの調合も大事なお仕事!

コーポレートカラーなど、特別な色は数時間かかることも



工場だけじゃない。物流はチームプレー

お客様のデザインをカタチにし、お客様の元へ届ける。

エーリンクサービスを構成しているのは、もちろん工場だけではありません。


製造工場に隣接する倉庫。出荷を待つ製品たち


2階へ。サンプル生地のストック倉庫



営業・デザイン・経理オフィス。

独自のデータベースで情報管理を徹底している



お客様のご要望をデザインに落とし込んでいく。

完成データはただちに製造部門へ送られる


 

スタッフの休憩室。

白を基調とした社内は、仕事のオンオフも快適だ



モノのプロセスは一目瞭然。プロからみたものづくり

日本ではカスタム品について「値段が高い・時間がかかる・めんどうだ」と、まだまだ敬遠されているのが実情。

一方、ヨーロッパでは「小工場×デジタル」の組み合わせで、個人のカスタムメイド時代が到来しています。

もちろん電化製品や自動車など、大量生産だからこそ世に広まった製品はたくさんあります。

しかし、たくさん作ることを是とするあまり値崩れをおそれて、製品を廃棄していく高級ブランドのなんと多いことか…。

「あるモノを見たとき、大量生産なのか、ちゃんとした手仕事なのかはすぐ分かります。私たちはプロですから」


セグウェイがすっぽり入るバッグ。充電器ポケットもある



社長の魅力は…遠回りにあり?!

取材中に印象的だったのは、山本社長がスタッフと会話を欠かさないことでした。

「みなさんのためにサンプル置いておいてよ~!いつも取りにいくじゃない(笑)」



「和」を感じるチームワーク。そんなトップのルーツを少しお聞きしました。

山本社長はこれまでいくつかの職業を経たのち、ある会社の貿易部門に就職。

海外調達を担当し、ベトナム駐在を経験しました。しかし、リーマンショックの打撃を受けたことで事業が停止。これをきっかけに起業を決断します。
ビジネスプランは様々あったといいますが、最終的にキャップとカバンの販売に行き着きます。

「この分野なら、日本でナンバーワンになれると思いました。」

2009年に越前市で創業し、事業拡大とともにスタッフも増加。

昨年1月に鯖江市の現オフィスが完成し、さらなる発展を続けます。



「むかし」と「いま」の交差点

その昔は、ひとつひとつのお店がひとつひとつの仕事をしていました。

パン屋さん、靴磨き屋さん、仕立て屋さん…


ひとつのお店がひとつの役割をになう。

シンプルなかかわりあいが、古き良き時代を築きあげました。

「ものづくりの理想は、中世の街並みかもしれません。」

そう前置きしつつ、山本社長はこう続けました。

「けれど、みんながシンプルだ・ミニマルだと言い出したら、社会は成り立たなくなるのではないでしょうか。」

もちろん1対1のものづくりも大切です。

そこにはお客様の思いと、職人・作り手の息遣いが重なり合うからです。

しかし、大量生産も間違いなく世界中の経済を支えてきました。

作り手は負担が減り、お客様は便利なものを安く購入できる。

細かい職人技と、巨大な生産ライン。

どちらもわたしたちの暮らしに根付いてきたものなのです。

「大量生産のニーズがあるからこそ、ベトナム自社工場の仕事が成り立っています。」

ほんとうに良いと思えるものを一人ひとりに。

エーリンクサービスが目指すものづくりは「シンプルさ」です。

一方でものづくりの歴史は、技術の発展とともに多様な価値観を生みだしました。

だからこそ私たちは、モノに愛着を持ったり、生活を便利にしたりすることができたのです。

「世の中に、ムダなものなんてないと思います。」

新たな時代におけるものづくり。エーリンクサービスは、その道筋を探し続けます。


ビジネスパートナーへのオーダー品、サーフボードバッグ。


アメリカ国旗はビンテージ品!実際にどこかで掲げられていたもの



遠回りでも大丈夫。価値を生み出す「ムダ」がある。

RENEW期間中は、オリジナルトートバッグのワークショップを開催します。

デザイン入力をスタッフと行い、その場でプリントができます!

「去年が初出展でしたが、ふだんお話しできない地域の方との交流が嬉しかったですね。」

鯖江市にこんなバッグメーカーがあったんだ!という声もあったといい、お互いに新しい発見があったそうです。

また、現在力を入れているのが採用活動。

「若い人、感度が高い人にたくさん来てほしいです。未経験でも、意欲がある方大歓迎です。」

ずっと憧れていたものづくり。今なら間に合うかな…

今までの経験、遠回りだったとしても大丈夫。

私たちと一緒に「あったらいいな」をかなえませんか?

ムダもひっくるめて愛する会社。それがエーリンクサービスです。




<出店者情報>

株式会社エーリンクサービス

住所:〒916-1105 福井県鯖江市吉谷町16-52-1

TEL:0778-42-5008

WEBサイト:https://www.a-linkservices.com/

RENEWページ:http://renew-fukui.com/2019/kanri/exhibitor/a-linkservices/

※現在、一緒に働ける仲間を募集しています!

RENEW期間中の営業時間

▼ショップ

10月12日(土)、13日(日) 9:00~17:00

▼ワークショップ

10月12日(土)、13日(日) 9:00~17:00

▼ワークショップ参加費・所要時間などの詳細は、こちらのURLをご参照ください。

http://renew-fukui.com/2019/kanri/exhibitor/a-linkservices/



文:角野 健太郎